2019年5月17日金曜日

BSL4問題を審議する公募委員に昨年度の公募委員6人だけが応募し私だけ外され、公募委員が一人減った

 長崎大が坂本キャンパスに建設中のBSL4施設について審議する地域連絡協議会の公募委員は、その任期が1年とさているため、年度毎に公募される。今年度の公募委員の募集に対して、私を含む昨年度の公募委員6人が応募したが、私1人が落選して、今年度は公募委員を5人で進めることが、今年度初の同協議会(5月14日開催)で明らかにされた。


 公募の件は、大学や長崎県、長崎市のホームページと長崎、朝日、毎日、読売、西日本の新聞各紙に、募集広告が出された。800字程度の小論文を大学と県、市が応募者の名前を伏せて審査し、私だけが基準点に満たしなかったとして落選した。

 5月14日に開かれた地域連絡協議会では、公募委員と自治会代表委員の2人の委員が「おかしいのでは」と質問。「委員は(BSL4に)反対と賛成の各3人ずつ、計6人が慣例だった」「賛成派の公募委員で3月の県議選に立候補した人(落選)がおり、政治的なことを持ち込まないとすることに触れないか」とか「落選した人は反対派だったから、賛成派も1人減らし、公募委員を4人にすべき」と、暗に県議選に出た人を外すよう求めたが、大学は「これは決定事項」と突っぱねた。

 私は昨年度中の各協議会で、BSL4施設について資料を集めて、他の公募委員が新鮮な意見を全くしない中、大学に主に次の3点について追及した。

①BSL4施設を住民の合意が必要-などと書いた日本学術会議の提言を見つけて、「住民の合意がないのに着工は出来ない」
②長崎大が「長崎は国際都市で多くの外国人が来てエボラに感染する危険があるから長崎に造ることに合理性がある」とすることに反論して「外国人の多くは東京や京都などの大都市に泊まり長崎よりも東京などが危険で適地だ」と言い返し、大学は「感染症はどこでも危険と」と言い直した。
さらに③長崎大が「チラシなどで情報公開を徹底的にやる」と言っていたが、公募委員を務めたことがある長崎大名誉教授が「BSL4で扱うウイルス」について情報公開したが、大学は「真っ黒に塗ったのり弁」状態で出したため「情報公開を徹底すると言っていたのに、おかしい」と追及、大学は「どんなウイルスを扱うかは公開するが、実験する内容までのウイルスは公開できない」として「徹底する」を取り消し、言い直した。

 このように長崎大は着工が前提で、でたらめな、その場しのぎの説明ばかりをして、国が付けたBSL4施設の予算執行のため、学術会議の提言を無視して着工して「建設しながら合意に務める」と言っているが、BSL4問題は裁判闘争にもなり、住民の合意は全く取れる見込みはない。

 昨年度の地域連絡協議会で、私の質問と回答の時間を大幅にとったことは事実だが、これで審議を妨害したとはだれも思っていない。私は公募委員として、今年1月までにまだいろいろな質問を出しているのに、書面だけで簡単に回答してきていたため、私は落選するであろうと思い、3月にもう一回開催して質問に答えてほしい-と求めてきたが、これも無視され年度が替わった。

 つまり、大学にとって私は邪魔な存在だ。小論文にはおかしなことを書いておらず、大学は恣意的に私を公募委員から外した。「小論文が基準に満たなかった」というならこれを具体的に示すべきだ。

 「基準点に満たさなかった」。これほど大学が学生に言うように見下し、小馬鹿にした発言があるだろうか。こんな言い方は、私が公募委員としての能力がない-と言っているようなものだ。

 私は現役中、新聞社に勤めていたために、新聞社の記者という立場と私個人の立場の双方から、国、県、市、各種団体の審議会や協議会の有識者委員を経験したこともあり、意見が対立した時はこれを仲裁する立場だった。それを「能力がない」といういい方は遺憾だ。これには前例があり、私が応募して公募委員になった代わりに、木須博行長崎大名誉教授が落選し、公募委員から外された。これも同じ理由の「基準点に満たさなかった」とか。2人を知っている人が見たらおかしな言い方だ。はっきり、反対意見がまともだったから外した、と言ってくれた方がすっきりする。

 独断だが、昨年度の地域連絡協議会で、一番、問題点を突いていた公募委員は私だったし、一昨年度は木須名誉教授だった。そうすると、公募委員の選定の基準は、個人の能力ではなく、大学にとって不都合な人物を省くと言う意味に解釈しないと納得できない。つまり,一昨年度は私が公募しなくても木須名誉教授は落選していたし、木須名誉教授の代わりに私を公募委員にしたが、やはり大学に都合が悪くて、慣例で公募委員6人としているところを5人に減らして、反対、賛成が同数にはならないのにもかかわらず私を落選させた。もし新たに公募委員に応募した人がおれば、ものすごい反対の姿勢を示していない限り、公募委員になっていただろう。

 ついでに有識者、大学内部の教授も現執行部に都合が悪くて委員から外されたと思う。レクナ(長崎大学核兵器廃絶研究センター)のセンター長だった鈴木達治郎教授だ。この4月でセンター長が代わったことで、委員も新センター長である吉田文彦教授が就任した。前任の鈴木達治郎教授(現レクナ副センター長)は、日本原子力委員会委員長代理を務めたこともある有識者で、昨年、情報公開の時も「情報公開を徹底すべき」など私を擁護するなどした一方、原発事故などに豊富な知識を持っている人物。

 私は、鈴木教授が大学の方針に従わないとして、レクナセンター長から退いたのを機に、委員を外したとみている。原子力、原発の知識が豊富で進歩的な考えをお持ちで、そのために地方の長崎大に飛ばされたとみている。鈴木教授はTBSテレビの日曜朝のモーニングショーにも出るほどの人物だ。これからBSL4の事故対応のマニュアル策定時には、鈴木教授の原子力に関する意見は必要になるが、長崎大は有識者も公募委員もイエスマンばかりにしたいようだ。

 もう一度書く。
他の委員からの指摘があったように、昨年度委嘱された公募委員6人全員が、今年度も応募し、他に応募者がいなかったにもかかわらず、公募委員を1人減らすことは不自然だ。私を公募委員に戻すべきだ。そして鈴木教授も委員に戻した方が、原発の知識を十分に取りいれた事故対応計画ができるはずだ。
(池田文夫)

2019年5月13日月曜日

第三回口頭弁論 -BSL4の情報開示等請求事件-

 長崎大が、長崎市の坂本キャンパスに治療方法のないエボラウイルスを輸入して動物実験や遺伝子検査をするBSL4施設を建設中だが、これに反対してBSL4施設計画の差し止めを求める会(以下「求める会」。山田一俊代表)と個人原告4人が、長崎大とBSL4計画に同意した長崎県と長崎市を相手に情報公開を求めている裁判の第3回口頭弁論(土屋毅裁判長)が13日、長崎地裁で開かれた。
 被告側長崎市などが原告の求める会について原告適格性がないとしていることに対して、原告側は、求める会を設立した際に作成された設立趣意書や設立総会の議事録を提出し,民主的な手続による設立・運営がなされており,原告としての適格性があると主張した。
 また、長崎市は(BSL4施設に)同意を与える権限がない‐としているが、長崎市は権限がないのにBSL4施設を容認、協力したから(建設をためらっていた)長崎大は建設に踏み切った。
 長崎市は「事故が発生しないよう万全の対策を講じ、万が一事故が発生しても被害が最小限に止めるための対策を講じるものと認識している」としているが、原告側は、この認識の根拠は何か、またどのようなウイルスを扱うと認識しているのか,被害が最小限にというが被害者の数を何人と予測しているのか,明らかにすべきだと主張した。
 これを以て、長崎大と長崎県は原告適格性などについては争わず、長崎市は検討し、6月4日までに答えるとした。
 次回の口頭弁論は6月11日(火)午後1時半から。

 なお、求める会は裁判の前に事前集会を開いた。その中で山田代表は「住宅密集地にはBSL4施設は造らせないと言う強い気持ちで裁判に臨んで建設中止に持っていきたい」と述べ、続いて弁護団が今日の裁判の意味を説明した。

(解説) この日、明らかになったことは、長崎大と長崎県は裁判では今後、これ以上は争わずに、裁判所が、憲法に基づいた情報公開についてどのような判断を示すのか,待とうとする作戦が見えた。
 長崎大は、このBSL4施設計画について、チラシなどで一貫して「情報公開を徹底する」と言ってきた。しかし、一昨年、個人原告の一人でもある木須博行長崎大名誉教授がウイルスについての情報公開請求をしたところ、長崎大は真っ黒に塗ったのり弁状態で回答。「徹底する」と言ってきた「情報公開」について、これを契機に「どんなウイルスを使うかは公表する」としていたものが、「このウイルスでどのような実験をするかは公開できない〔調漸(しらべすすむ)学長特別補佐〕」に方針が変わった。このために、長崎大などは情報公開について、争う意思がないとみる方がよい。
 このため、この情報公開訴訟が早く終わった場合に備えて、原告側は今後、どのような対応をするかを考えないといけない。万一、負けた場合のための準備が必要のようだ。被告側は、負けた場合には控訴し上級審の判断を仰げばよく、そのうちに建設している施設ができるのを待っていればよいだけだからだ。
(個人原告・池田文夫)

10月の初めにBSL4施設計画について考える

 国立感染症研究所は9月末までにエボラ出血熱やラッサ熱などの5つの原因ウイルスを輸入して、東京都の武蔵村山分室に搬入したと発表した。来年の東京五輪・パラリンピックを控え、これまで日本になかったアフリカの風土病の検査体制を強化、多くの外国人が日本に来てこの中に、万一、これらのウイル...