2018年12月27日木曜日

27日の建設着工日に合わせ周辺住民が反対集会 ー BSL4施設計画問題

 長崎大学が坂本キャンパスに計画しているBSL4施設が26日に建設業者と工事契約され、形式上27日が着工日となり、この施設に反対している周辺住民らでつくるBSL4施設計画の差し止めを求める会(山田一俊代表)は27日8時半から、坂本キャンパス正門前で、抗議のスタンディングを開いた。

 住民ら30人が約集まり、最初に山田代表が「大学は住民の声を聞かずに着工を強行した。住宅密集地に造ることは本当に遺憾で、今からでも建設場所の変更を求める」と言い、参加者が一人一言「絶対にヒューマンエラーはあり、事故は起き、子や孫まで事故に巻き込ませたくない」などと言い、最後に「故郷」の歌を歌った。

住宅密集地に造るな ! BSL4施設計画で周辺住民が訴訟

 長崎大学が住宅密集地の坂本キャンパスに計画しているBSL4施設建設に反対している周辺住民らでつくる「BSL4施設計画の差し止めを求める会、山田一俊代表ら約2000人」と個人原告4人が同大学と施設建設に同意した長崎県、長崎市の3者に対し、ここで扱うウイルスなどの情報開示などを求めた裁判の第1回口頭弁論が25日、長崎地裁(土屋毅裁判長)であり、被告側の長崎大学などはいずれも請求の棄却を求め争う姿勢を示した。
 次回は来年2月18日午前10時半から。



 訴状によると、ウイルスは常に漏れる危険があり、住宅地に造るにも関わらずにも住民が情報の開示を求めても不都合なことを明らかにしていない。情報を開示しないのは権利侵害の始まりであり、知事、市長も住民の健康を守る義務があるのに自覚がない。これらは幸福追求権、人格権、知る権利の侵害であるとしている。
 これに対し長崎大学は、答弁書で、求める会が権利なき社団としての原告適格は認められない。また大学はBSL4を稼働させても事故が発生しないよう万全の対策を取り、また万一事故が発生しても被害を最小限に止める対策を講じるなどとして棄却を求めた。
 この後、求める会の山田代表が求める会を代表して、また個人原告3人も「坂本を含む浦上地区は、過去キリシタン弾圧や原爆が投下された場所で、しかも住宅密集地。研究者にとっては都合の良い場所であっても、住民にとっては日本で最も造ってはいけない場所。ヒューマンエラーはどんな対策を取ってもなくならないし、事故は必ず起きる。ウイルスなどを公開しないことはバイオ兵器を造っても住民は分らない。全ての情報を開示すべき」などと力強く述べた。
 また県、市ともに棄却を求めた。

 傍聴席は満席になり、マスコミも新聞テレビ全社が取材し、関心の高さを示した。

 《裁判の主な意見交換は以下の通り》
1 長崎大学は、以下のとおり原告らに対して説明を求めた。
 ① 求める会が社団として成立しているのか。
 ② 求める会が原告として権利を主張できる立場にあるのか。
 ③ 原告らが主張する権利は何か。また、主張する権利の法的な根拠は何か。
 これに対し原告側代理人は、後日、書面で明らかにすると回答。
2 長崎大学と同趣旨の要求が裁判長からもなされた。これに対し原告代理人は、裁判所から書面で請求して欲しい旨要求したが、裁判長は長崎大学から要求されている事項であることから書面は出さないとした。これに対し原告代理人は、検討する旨を回答。
3 原告側は、求める会の代表、個人原告4人のうち3人、原告代理人による口頭意見陳述を行った。その他に、求める会の会員1人による陳述を予定していたが、裁判長は、「会としての意見であれば代表が陳述して欲しい」旨要求したうえで、代表による代読ではどうかと提案。これに対し、原告側は、あくまでも会員本人による音読を要求したが、会員本人による陳述は認められなかった。


《一方、裁判の事前集会と事後集会が開かれた。》


 事前集会では、まず山田代表が「住宅密集地の坂本キャンパスには絶対造らせない」と決意を述べ、4人の原告もそれぞれが、裁判に臨むにあたっての決意を述べて「絶対に裁判に勝とう」などと述べた。


 この後の事後集会で、住民から「いつも住民の立場で書く長崎新聞の論説が今日(25日)のBSL4関連では大学よりで残念だった」「長崎大学の熱帯医学研究所以外の教職員の中でBSL4に対して住宅密集地に造るのに疑問を持っている人も多い」「ヒューマンエラーは必ずある。危険率100%だ」「建設着工を差し止めるためには、県と市を動かすべきではないか」などの意見が相次いだ。

 一方、龍田紘一郎主任弁護士は「傍聴席は満杯になったが、皆さんおとなしい。拍手などして裁判官にプレッシャーをかけよう。またわが身かわいさのために政府寄りの判決を出すのが多くなってきており、今後の裁判で裁判官の心に響くようなことを言って、保身のための判決を出さないようにさせよう」と語った。


【解説】
 長崎大学のBSL4建設計画周辺住民はついに裁判に持ち込んだ。学術会議の提言にある合意と理解もなく、WHOの住宅地は避けるような指針に反しているとして建設中止を求めた。だが、単に建設中止を求める訴訟をするには億単位の資金が必要で、龍田紘一郎弁護士は「貧乏人は裁判も出来ない」事態になっており、仕方なく側面から情報の開示請求となった。
 このBSL4施設で大学側が造った地域連絡協議会では、169の考えられるリスク〔調漸学長特別補佐〕の説明が終わったばかりで、突然、着工声明となった。この協議会でもまだ論議が尽くされたとは言い難いが、大学側は「国策」としてのBSL4施設の建設予算がついており、また来年度予算案もついて、大学側にとっては論議不十分といえども、着工せざるを得ない事情が見え隠れする。
 建設反対側が最も強調するのは、東京・武蔵村山市の例だ。国立感染研究所は、住民の同意を得ずに造ったために、35年間も稼働ができず、現在も本格稼働とは言えず、万一疑わしい病人が出た場合の検査だけだ。つい最近、厚労省は本格稼働をするために、エボラウイルスの輸入を申し入れたが住民は拒否。この武蔵村山の二の舞をしないために学術会議は住民の合意と理解の提言を出した。
 だが大学はこれを無視したといえ、再び、完成したとしてもエボラウイルスなど最も危険なウイルスを使っての動物実験や遺伝子検査をするには、周辺住民の合意が絶対条件だ。
 BSL4施設は2021年度には完成するが、この裁判が終わって、大学側が勝ち、その上、周辺住民の合意をどうとるのか、全く先が見通せないのが現状。
 強行着工で中立側の住民の硬化も予想され、再び、施設は出来ても稼働は出来ないと言う、武蔵村山と全く同じ状態になることが予想される。強行着工は国立大学としての立ち位置が問われそうだ。(池田文夫)


2018年12月20日木曜日

キャンドル・スタンディング(第2回)を開催しました。

エボラウイルスなど、治療法がない最も危険なウイルスを輸入して、動物実験などをするBSL4施設が、来週にも長崎大の坂本キャンパスに着工されるのに反対して、BSL4施設計画の差し止めを求める会は、20日午後6時からBSL4建設予定地に近い長崎市の長崎大学坂本キャンパス正門前で、2回目のキャンドル・スタンディングを開いた。

雨が降る中にも、近隣住民らを中心に47人が参加、ペンライトをかざしながら、最初に求める会の山田一俊代表が「最初の着工予定日だった21日の着工は、手続き上延期になったが、大学は日本学術会議の提言にある住民の事前の合意のないまま着工しようとしている。BSL4施設は危険であくまで反対しよう。」とあいさつ。

参加した住民たちは、雨で傘をさしながら「見上げてごらん夜の星を」を合唱した。

続いて参加者は、一人ひとり「BSL4ができたら想定外の事故が起き、長崎は死に街になる」「長崎大学は地域との共生を言っているがエボラとの共生を押しつけている」などと訴えた。


最後に唱歌「故郷」を歌った。

求める会は大学と県、市を相手取り、情報公開を求めて提訴しており、この第1回の口頭弁論が25日午後4時から長崎地裁で開かれる。

求め会は地裁前で、午後3時15分から事前集会を開く。

また、裁判官に住民の反対の姿勢を知らせために、傍聴席を満杯にしたいと考えており、傍聴希望者が多く来るよう呼びかけている。

例え、裁判が抽選になり漏れても、裁判後、報告集会を長崎地区労会館で行い、裁判の要点をみんなに知らせる予定。


2018年12月8日土曜日

2018年12月5日 長崎市議会 内田議員 一般質問

12月5日 長崎市議会本会議 内田議員

「市長は建設容認を撤回すべき」

 まず,壇上から「BSL4は,国内には存在しない危険なウイルスをわざわざ国外から取り寄せて研究するもの。近隣住民は,研究は認めるもののBSL4施設を住宅密集地ではなく他の場所に造って欲しいと願っている。」としたうで,「長崎大学は住民の声に耳を傾けるのではなく,建設ありきで強引に建設しようと進めている。」と,問題を提起。2016年11月に,県知事と市長が建設を容認したことが背景にあると指摘しました。

 今年11月に当会が,情報開示を求めて提訴したことを取り上げ,「住民合意が出来ていないことの証」と位置づけ,「市長は建設容認を撤回するべきだ」と,市長の政治姿勢を問いただしました。

 これに対して市側は,①世界最高水準の安全性の実現,②地域との信頼関係の構築,③国と連携したチェック体制の構築,の3点の確実な履行を大学に求めると共に,市は側面的な支援を行っていくと回答しました。

 また,大学の対応について,「(地域連絡協議会において)リスクアセスメントに対しても一つ一つ丁寧に説明し,BSL4施設に対する論点や不安な声に真摯に対応している。」と評価しました。


『補足』リスクアセスメントについて丁寧に対応したという市長の答弁について

 地域連絡協議会を傍聴された方はご存じのことと思いますが,実際は重大な事象の発生パターンを169項目想定したうえで一覧表を作成し,説明した程度に止まっています。(質疑応答はありましたが。)一つ一つを議論する前に,わかりやすい一覧表の作成方法についての議論に時間を費やしましたが,肝心の中身の議論は殆どされていないに等しいです。

壇上からの質問


《真摯に耳を傾けるといいながら…辺野古への基地移設問題における政府対応と同じ》

 続けて,自席からの再質問では,「学長は,謙虚に耳を傾けながら計画への理解を求めると言うが,住宅密集地に造らないで欲しいというのが,住民の声であるから,(大学は)耳を傾けてはいない。」と指摘したうで,市は大学に対して住民の理解が得られるまで(BSL4を)建設をしないと約束させるべき。それできないのなら,(市長は)建設容認を撤回するという強い気持ちで大学に対して臨んで欲しい,と問いただしました。

 これに対して市側は,判を押したように,先ほどと同じ内容の答弁を繰り返しました。

 また,内田議員は,「安倍総理は県知事との対談の中で,県民の心に寄り添って基地建設の理解を求めていくと言ったが,直ぐにでも土砂が投入されようとしている。」と,沖縄の辺野古基地建設問題を例にあげ,「BSL4も同様に,謙虚に耳を傾けると言いながら,市長は住宅地に造らないで欲しいという住民の声に耳を傾けていない。」と指摘しました。

自席からの再質問


2018年12月6日木曜日

2018年12月3日 長崎市議会 池田議員 一般質問

12月3日 長崎市議会本会議 池田議員

「情報が公開されないで,地域との信頼関係の構築はできるものなのでしょうか。」

 冒頭,長崎大学の情報公開に対する姿勢について,市長の認識を問いただしました。
 池田市議は,「いつ,どんなウイルスを使ってどのような実験を行うのか,長崎大学は情報公開を行うわけではない。」と指摘。

 更に,「スペイン風邪ウイルスの再現実験を行った河岡教授(東京大学)は,エボラウイルスの再現実験もしようとしている。長崎大学でBSL4が稼働すれば,実験が長崎大学で行われるだろう。市は以前,実験により病原性を高めることはないと,大学から聞いていると答弁した。遺伝子を組み換えて別のウイルスから致死性の高いウイルスを再現するような実験は,病原性を高める実験なのではないか。」と指摘し,市の認識を問いただしました。
質疑の様子はこちら 「長崎市議会 youtube」
 質疑全体をとおして感じられた印象は,BSL4の危険性について,市や市長は長崎大学の説明を鵜呑みにしているだけで,独自に内容を検証しているのではないということです。市民の安全を第一に考え,能動的な行動を市や市長がとることは,もはや期待できないのかも知れません。これでは,誰のための,何のための自治体・市長なのかわかりません。

 政府は,長崎大学が進めるBSL4設置計画について,国策と位置づけており,そうであれば,県知事,市長,自治体は,政府の操り人形なのかもしれませんね。

 


2018年12月1日土曜日

キャンドルスタンディングを行いました(中止連)

 BSL4施設設置の中止を求める自治会・市民連絡会(中止連)は,12月1日,長崎大学医学部(坂本キャンパス)正門前で,キャンドルスタンディングを行いました。
 集まったのは,近隣住民と中止連メンバーの計12人。



 まず最初に,木須事務局長よりご挨拶とBSL4をめぐる最近の動向についてご説明。
 続けて,全員による「見上げてごらん夜の星を」合唱のあと,プラカードとキャンドルに見立てたケミカルライトを手に,ひとりひとり順番に,BSL4に反対の意思を言葉にしました。
 参加者のひとりは「以前,大学側から『敷地の奥の方にBSL4を建てるから安心してください』と言われたが,私からみれば,坂本キャンパス全体が(自宅から近くて)庭のようなもの。危険なものは建てないで欲しい。」と訴えました。
 最後に全員で,唱歌「故郷」を合唱し,解散しました。
 BSL4施設は,早ければ12月21日に着工される見通しですが,中止連では着工後も反対運動を続ける予定です。
 反対運動に対し,みなさまのご賛同とご支援をどうぞよろしくお願いします。
 

10月の初めにBSL4施設計画について考える

 国立感染症研究所は9月末までにエボラ出血熱やラッサ熱などの5つの原因ウイルスを輸入して、東京都の武蔵村山分室に搬入したと発表した。来年の東京五輪・パラリンピックを控え、これまで日本になかったアフリカの風土病の検査体制を強化、多くの外国人が日本に来てこの中に、万一、これらのウイル...