被告側長崎市などが原告の求める会について原告適格性がないとしていることに対して、原告側は、求める会を設立した際に作成された設立趣意書や設立総会の議事録を提出し,民主的な手続による設立・運営がなされており,原告としての適格性があると主張した。
また、長崎市は(BSL4施設に)同意を与える権限がない‐としているが、長崎市は権限がないのにBSL4施設を容認、協力したから(建設をためらっていた)長崎大は建設に踏み切った。
長崎市は「事故が発生しないよう万全の対策を講じ、万が一事故が発生しても被害が最小限に止めるための対策を講じるものと認識している」としているが、原告側は、この認識の根拠は何か、またどのようなウイルスを扱うと認識しているのか,被害が最小限にというが被害者の数を何人と予測しているのか,明らかにすべきだと主張した。
これを以て、長崎大と長崎県は原告適格性などについては争わず、長崎市は検討し、6月4日までに答えるとした。
次回の口頭弁論は6月11日(火)午後1時半から。
なお、求める会は裁判の前に事前集会を開いた。その中で山田代表は「住宅密集地にはBSL4施設は造らせないと言う強い気持ちで裁判に臨んで建設中止に持っていきたい」と述べ、続いて弁護団が今日の裁判の意味を説明した。
(解説) この日、明らかになったことは、長崎大と長崎県は裁判では今後、これ以上は争わずに、裁判所が、憲法に基づいた情報公開についてどのような判断を示すのか,待とうとする作戦が見えた。
長崎大は、このBSL4施設計画について、チラシなどで一貫して「情報公開を徹底する」と言ってきた。しかし、一昨年、個人原告の一人でもある木須博行長崎大名誉教授がウイルスについての情報公開請求をしたところ、長崎大は真っ黒に塗ったのり弁状態で回答。「徹底する」と言ってきた「情報公開」について、これを契機に「どんなウイルスを使うかは公表する」としていたものが、「このウイルスでどのような実験をするかは公開できない〔調漸(しらべすすむ)学長特別補佐〕」に方針が変わった。このために、長崎大などは情報公開について、争う意思がないとみる方がよい。
このため、この情報公開訴訟が早く終わった場合に備えて、原告側は今後、どのような対応をするかを考えないといけない。万一、負けた場合のための準備が必要のようだ。被告側は、負けた場合には控訴し上級審の判断を仰げばよく、そのうちに建設している施設ができるのを待っていればよいだけだからだ。
(個人原告・池田文夫)
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